私が好きだったこと
タイトルは、なんのインスパイアかわからないでしょうね。
私もどんなストーリーだったか忘れましたもん。
でも確か映画化されてたはずだから、知ってる人も多いんだろうか?
宮本輝さんの中編小説に「私たちが好きだったこと」ってのがあったんですよね。
それがなんとなく印象に残ってて、こういうタイトルに(笑)
男女4人が同居して、恋して喧嘩してなんたらかんたらな話だったと思うんですが(^^ゞ
覚えてないってことは、あんまり共感しなかったんでしょう。
ただ、昨日寝る前に読んだ物語に、
「すっきやわぁ」
と感じ、
「あぁ、私が好きなのはこういうところか」
と思ったもので、それをネタにしようか、と。
そしたらこのタイトルが浮かんだので使った、と。
ただそれだけの、なんの意味もないことなんです。
すいません(^^ゞ
さてさて。
昨日読んだ物語というのは、『妖異博物館』に載っているごくごく短い逸話です。
ありがたいことですが、仕事が立て込んできまして、昼間はゆっくり本を読んでられないんですよ。
なので寝る前が読書タイム。
短い随筆を集めた『妖異博物館』はもってこいなんですよ~。
お薦め!!
さてさて、そのお話はこんな内容です。
セリに、ものっそ古い枕が売りに出されてます。
でもその枕、油でベタベタだっていいますから、髪の毛につける椿油かなんかでしょうか?
そんなもんでだれも値をつけず、セリが成立しない。
そこにやってきたのが、大阪雅楽頭という呑気ものです。
草履とりを連れて見物していましたが、お酒に酔ってたもんで、ついつい横から割って入り、
「お~い五文をつけるぞ~!!」
と(笑)
当時の五文っていったら200円くらい?
早起きは三文の徳とか二束三文とかいう言葉がありますから、大した値段じゃないでしょう。
でも、草履とりは大迷惑ですよ。
昔の枕って木製で重いでしょう?
その上油でベタベタだってんですから、持ちづらいことこの上ない。
つぅか気持ち悪いよね(^^ゞ
誰の髪の毛の脂かわからないのがぎとぎとについた枕なんですから。
お酒から覚めた雅楽頭、
「こんなものどうするんです?」
と家の人に詰め寄られ、
「使えばいいじゃない」
と答えたはいいが、やっぱ気持ち悪い(笑)
油のギトギトした部分を削らせるんですね。
で、やっとなんとか使えるようになったけど、木くずが邪魔でしょ?
「油が沁みてるからよく燃えるだろう」
とワクワクしながら燃やしたところ、ものすごい香がして、大阪の街中に漂ったそうな。
実はこの枕、伽羅の木でできていたことがわかって、雅楽頭、慌てて天皇に献上したそうです。
ただそれだけのことなんですが、なんかいいと思いません?
雅楽頭がなんにも考えてないところが、すごく、いい(笑)
以前にも何度か書いたんですが、私がすごく好きな話に、グリムの「三人の糸繰り女」というお話があります。
怠け者の娘の母親、見栄っ張りだったもんで、
「うちの娘はものすご~く働き者で、糸繰りばっかりやってるんですよ!」
と近所で吹きまくります。
それを聞いた女王様、
「そんな働き者なら、王子の嫁にしたいわ」
と娘を呼び寄せ、倉いっぱいの綿(羊毛かも)を見せ、
「これを全部紡ぎ終わったら、王子と結婚させますからね」
と言います。
普通の娘なら、王子と結婚できるとなったら奮起すると思いません?
でもこの娘は「王子との結婚」なんて餌には釣られません。
「働くのいや~」
とゴロゴロして過ごします。
そこへやってきたのが、三人の糸繰り女ですよ。
一人はくちびるがだら~んと垂れ下がり、一人は親指がしゃもじのよう、もう一人は脚がペダルのような魔女でした。
三人は、
「結婚式に、私たちを叔母だと言って呼んでくれるなら、代わりに糸繰りをやってあげるよ」
と言い、娘は一も二もなく承諾します。
そして娘は王子の嫁に。
結婚式にはもちろん、三人の魔女を呼びます。
でも、糸繰り女たちを見た王子は驚愕。
「あの~、なんでそんな唇に?」
「これはね~、糸を繰るために綿を舐めすぎたからこうなったんだよ~」
「ひ、ひぇ~~……あなたはなんでそんな指に?」
「糸を繰りすぎたからかねぇ」
「ほぇ~~~~~……あなたの足もやっぱり、糸繰りのせいで?」
「んだんだ。糸繰り器のペダルを踏みすぎたねぇ」
「ひょひょ~~~~!!!!!」
ということで王子様は、
「君はいつまでもきれいでいてほしいから、もう絶対糸繰りしちゃダメッ!!!」
と新妻に命令したのでした。
差別を含む物語になるのかもしれませんけどね(^^ゞ
娘があまりにも何も考えてないので、小気味いいでしょ?
雅楽頭も怠け者の娘も、自分が得をしようとか、お金持ちになろうとか全然考えてないんですよ。
ただ、楽したいとか楽しみたいとかそれだけで生きてる。
そして、ふりかかった幸せを失うこともなんとも思ってません。
だから雅楽頭は、せっかく手に入れた高価な伽羅の塊をあっさり献上しちゃったし、怠け者の娘は醜い魔女を「叔母」として平気で紹介できたわけです。
一つ間違えば、「こんな醜い女たちの姪を妻にしたくない」と王子が言い出す可能性もあったわけですからね。
だけど娘はそんなことちっとも心配してないわけです。
「何も考えてない」ってことはつまり、「何にもこだわらない」ということかもしれません。
こだわらない生き方って難しいでしょ(^^ゞ?
ディオゲネスは「こだわらないで生きよう」と、みすぼらしい器一つで生活してたって言われてますよね。
でもある日、水を汲もうとして器を川に落とし、慌てて拾おうとして自己嫌悪に陥った、と。
「あぁ私は器にこだわっていた。水なら手のひらに汲めばいいのに」
と言ったとか。
……あほやね、この人(笑)
「こだわらないことにこだわってる」
ことに気づいてない(笑)
その点、この雅楽頭と怠け者の娘は、ほんと~~~~~~~~~~~~~~~~~~にっ!!こだわってないでしょ(笑)?
こういう生き方って、憧れます(#^.^#)
私もどんなストーリーだったか忘れましたもん。
でも確か映画化されてたはずだから、知ってる人も多いんだろうか?
宮本輝さんの中編小説に「私たちが好きだったこと」ってのがあったんですよね。
それがなんとなく印象に残ってて、こういうタイトルに(笑)
男女4人が同居して、恋して喧嘩してなんたらかんたらな話だったと思うんですが(^^ゞ
覚えてないってことは、あんまり共感しなかったんでしょう。
ただ、昨日寝る前に読んだ物語に、
「すっきやわぁ」
と感じ、
「あぁ、私が好きなのはこういうところか」
と思ったもので、それをネタにしようか、と。
そしたらこのタイトルが浮かんだので使った、と。
ただそれだけの、なんの意味もないことなんです。
すいません(^^ゞ
さてさて。
昨日読んだ物語というのは、『妖異博物館』に載っているごくごく短い逸話です。
ありがたいことですが、仕事が立て込んできまして、昼間はゆっくり本を読んでられないんですよ。
なので寝る前が読書タイム。
短い随筆を集めた『妖異博物館』はもってこいなんですよ~。
お薦め!!
さてさて、そのお話はこんな内容です。
セリに、ものっそ古い枕が売りに出されてます。
でもその枕、油でベタベタだっていいますから、髪の毛につける椿油かなんかでしょうか?
そんなもんでだれも値をつけず、セリが成立しない。
そこにやってきたのが、大阪雅楽頭という呑気ものです。
草履とりを連れて見物していましたが、お酒に酔ってたもんで、ついつい横から割って入り、
「お~い五文をつけるぞ~!!」
と(笑)
当時の五文っていったら200円くらい?
早起きは三文の徳とか二束三文とかいう言葉がありますから、大した値段じゃないでしょう。
でも、草履とりは大迷惑ですよ。
昔の枕って木製で重いでしょう?
その上油でベタベタだってんですから、持ちづらいことこの上ない。
つぅか気持ち悪いよね(^^ゞ
誰の髪の毛の脂かわからないのがぎとぎとについた枕なんですから。
お酒から覚めた雅楽頭、
「こんなものどうするんです?」
と家の人に詰め寄られ、
「使えばいいじゃない」
と答えたはいいが、やっぱ気持ち悪い(笑)
油のギトギトした部分を削らせるんですね。
で、やっとなんとか使えるようになったけど、木くずが邪魔でしょ?
「油が沁みてるからよく燃えるだろう」
とワクワクしながら燃やしたところ、ものすごい香がして、大阪の街中に漂ったそうな。
実はこの枕、伽羅の木でできていたことがわかって、雅楽頭、慌てて天皇に献上したそうです。
ただそれだけのことなんですが、なんかいいと思いません?
雅楽頭がなんにも考えてないところが、すごく、いい(笑)
以前にも何度か書いたんですが、私がすごく好きな話に、グリムの「三人の糸繰り女」というお話があります。
怠け者の娘の母親、見栄っ張りだったもんで、
「うちの娘はものすご~く働き者で、糸繰りばっかりやってるんですよ!」
と近所で吹きまくります。
それを聞いた女王様、
「そんな働き者なら、王子の嫁にしたいわ」
と娘を呼び寄せ、倉いっぱいの綿(羊毛かも)を見せ、
「これを全部紡ぎ終わったら、王子と結婚させますからね」
と言います。
普通の娘なら、王子と結婚できるとなったら奮起すると思いません?
でもこの娘は「王子との結婚」なんて餌には釣られません。
「働くのいや~」
とゴロゴロして過ごします。
そこへやってきたのが、三人の糸繰り女ですよ。
一人はくちびるがだら~んと垂れ下がり、一人は親指がしゃもじのよう、もう一人は脚がペダルのような魔女でした。
三人は、
「結婚式に、私たちを叔母だと言って呼んでくれるなら、代わりに糸繰りをやってあげるよ」
と言い、娘は一も二もなく承諾します。
そして娘は王子の嫁に。
結婚式にはもちろん、三人の魔女を呼びます。
でも、糸繰り女たちを見た王子は驚愕。
「あの~、なんでそんな唇に?」
「これはね~、糸を繰るために綿を舐めすぎたからこうなったんだよ~」
「ひ、ひぇ~~……あなたはなんでそんな指に?」
「糸を繰りすぎたからかねぇ」
「ほぇ~~~~~……あなたの足もやっぱり、糸繰りのせいで?」
「んだんだ。糸繰り器のペダルを踏みすぎたねぇ」
「ひょひょ~~~~!!!!!」
ということで王子様は、
「君はいつまでもきれいでいてほしいから、もう絶対糸繰りしちゃダメッ!!!」
と新妻に命令したのでした。
差別を含む物語になるのかもしれませんけどね(^^ゞ
娘があまりにも何も考えてないので、小気味いいでしょ?
雅楽頭も怠け者の娘も、自分が得をしようとか、お金持ちになろうとか全然考えてないんですよ。
ただ、楽したいとか楽しみたいとかそれだけで生きてる。
そして、ふりかかった幸せを失うこともなんとも思ってません。
だから雅楽頭は、せっかく手に入れた高価な伽羅の塊をあっさり献上しちゃったし、怠け者の娘は醜い魔女を「叔母」として平気で紹介できたわけです。
一つ間違えば、「こんな醜い女たちの姪を妻にしたくない」と王子が言い出す可能性もあったわけですからね。
だけど娘はそんなことちっとも心配してないわけです。
「何も考えてない」ってことはつまり、「何にもこだわらない」ということかもしれません。
こだわらない生き方って難しいでしょ(^^ゞ?
ディオゲネスは「こだわらないで生きよう」と、みすぼらしい器一つで生活してたって言われてますよね。
でもある日、水を汲もうとして器を川に落とし、慌てて拾おうとして自己嫌悪に陥った、と。
「あぁ私は器にこだわっていた。水なら手のひらに汲めばいいのに」
と言ったとか。
……あほやね、この人(笑)
「こだわらないことにこだわってる」
ことに気づいてない(笑)
その点、この雅楽頭と怠け者の娘は、ほんと~~~~~~~~~~~~~~~~~~にっ!!こだわってないでしょ(笑)?
こういう生き方って、憧れます(#^.^#)
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