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謙譲語

外人さんが日本語を学ぶ時、大変だと感じるのは「敬語」だと言いますよね。

例えば、「言う」だと、「おっしゃる」「申す」の言い換えがあります。
「おっしゃる」は尊敬語、「申す」は謙譲語。
この他、丁寧語では「言います」になるんですよね。

丁寧語はまぁいいとして、尊敬語と謙譲語を取り違えるパターンを、よく見かけます。

会社員時代、
「もうすぐ部長が参られますので」
とか、
「課長が申されておりました」
とか。

よく聞いたなぁ(笑)

もちろん、社外の人に申し上げるときにはそれでもいいんです。
が、社外の人に「部長」「課長」を単体では使いません。

「部長の○○」
「課長の○○」
と、苗字を言うのが普通でしょう。

このとき気をつけたいのは、前後関係。
「課長」「部長」はいちおう尊称なので、「○○課長」「○○部長」とすると、身内を尊称で呼ぶことになってしまいます。

「課長の○○」とすると、「課長」は尊称ではなく役職となる。

……ややこしいっすね(^^ゞ

そのほか、目上の人に「お疲れ様です」という言葉を使っていいのかどうかなんていう議論もときどき見かけますね。
あぁ、ややこしい。
「ニホンゴむずかしいよ~」
と言いたくなる気持ちもよくわかります(笑)

さて。
つかこうへいのエッセーを呼んでいると、「愚妻」という単語がたくさん出てきます。
「愚妻はりんとした品があるので」
「愚妻の長いまつげが云々」
「愚妻の後ろ姿が鳴きたくなるほど美しい」
「愚妻ほどの美女だから」
「愚妻がいじらしくて」
などなど。
まぁ、ベタ褒めというやつですか(笑)

ときどき「愚妻直子」と書かれていますし、多分、実在の奥さまの話をある程度アレンジして書かれているのだと思います。

で、なんとなく「つかこうへい」で検索してみると、奥さまの直子さんは元女優だと書かれているじゃあありませんか。
なら画像があるんじゃないのか?と検索してみたくなりません?
だって、こんなにベタ褒めなんだもん(笑)

ところが……。
どうやら、演歌歌手に生駒尚子さんとおっしゃる方がおられるらしく、こっちばっかりひっかかってくる(^^ゞ
これは別のキーワードも入れねばと、「つかこうへい 生駒直子」で検索しても、なぜだか尚子さんの方ばっかり。
いろいろやってもやっぱり尚子(←失礼)

なんとなく煮え立ってきて、「愚妻 生駒直子」で入れてみることにしました。

すると……。

「愚妻」という言葉に対してムカついておられる方の文章やらブログが上位にぞくぞくとヒットしたんですわ。

「『愚妻』という言葉があるのに『愚夫』という言葉がないのは不公平だ!!」
とかですね(笑)
「妻に対して愛情があるなら、『愚妻』なんて言い方ができるはずがない!」
などの論調でした。

そしてそれとは別に、
「日本人は自分を謙譲することは良しとしても他人を貶めるようなことは良しとするわけがない。『愚妻』の『愚』は『妻』ではなく自分にかかっている。つまり『愚かな妻』ではなく『愚かな自分』の『妻』なのだ」
というお話もありました。

例えば、「拙著」という言葉も「拙い著作」ではなく「拙い自分」の「著作」だとおっしゃるんですね。

なるほど。

なるほどとは思うけど……どうも屁理屈な気がする(^^ゞ

Facebookにそのことを書いたら、愛妻家(自称では恐妻家)の知人からコメントをいただきました。
彼はクリスチャンで、奥さまのことを「最高の親友という感覚に近い」とおっしゃってたと思います。

彼曰く、
「家族を一体として感じ得るとき、『愚妻』『愚息』などという表現があり得るんじゃないか」
とのこと。

実はこれ、私も同じようなことを考えていました。
つまり、「夫婦は一心同体」という確固とした思想があれば、「愚妻」の「愚」は妻にも自分にもかかってくる。
「私たち二人とも、本当に考えなしなのでご鞭撻くださいね」
という気持ちがそこに読みとれます。

私個人は、そういう感性は、なんとなく好き(笑)
無条件に、相手は自分より偉いに違いないと信じている人って、なんか素敵です。

繰り返しになりますが、つかさんのエッセーでは、奥さまのことをベタ褒めです。
というか、通常ならあり得ないほどのいい女なんですよ。

合気道の使い手で、だから凛としていてしなやか。
その上美人で品があり、たたずまいを崩すことはない。
性格は素直で勤勉。まじめで熱心でそのくせ控え目。
純粋過ぎて少し間が抜けることはあるが、聡い気質である。
親の教育が少し変わっていて世の中のことを知らず、テレビという機械があることさえ知らない。

ね?
まぁ、こんな人はいないと思います(笑)

彼女をして、「愚妻」と言うから、「愚」が活きるんですね。

奥さんの悪口ばっかり言ってる男が、「愚妻」なんて言えば、
「そんな女性と結婚するお前が愚かなんやろが」
と、毒舌のひとつも吐きたくなるってもんですよ。

私がうちの、世界一可愛いチュリーを、「あほ鳥」と呼ぶのは、あんまり可愛くて、美しくて賢いので、「うちの賢くて可愛い鳥が」なんて書いたら、自慢になっちゃうからです。
そしてうちの世界一食いしん坊なびーこを、「あほ犬」と呼ぶのは、あほだからです(←ヲイ)。

まぁそういうわけで、例えば奥さんのことを好きで好きで仕方ないんだなと誰もが感じる男性が、「愚妻がね」なんてことを言うと、「なに??自慢???」とか思っちゃう(笑)

ただ、上記知人は、こんなこともおっしゃってました。
これはママ転載しますね。
「謙譲語に、ともすると美徳よりも卑屈さを感じることがあるような気がしますが、これはもしかしたら近代、というよりも現代になって「目に見えない、自分(人間)より偉いもん」を意識しなくなり、謙譲が対人的にしか意識されなくなったということがあったりしないかなぁなどとも思いました。」

これには目からウロコでした。

確かに、謙譲する相手は、人間ばっかりじゃないんですよね。
祝詞でも、「かしこみかしこみ 申す」で〆るもんなぁ。

そして神から見れば、どんなに賢い人でもやっぱり「愚」でしょうから、「愚妻」と言っても、なんの悪口でもないわけです(笑)

んなことを考えればやっぱり、人は「神」を意識して生きる方が生きやすいなぁ……。
謙譲語のことを考えてたら、神にまで行きついちゃいました(^^ゞ
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ノロケなのかも

つかさんのエッセーで奥さまのことをベタ褒めしてる内容を読んで、つかさんがいう「愚妻」というのは、「こんなに素晴らしい女性なのに自分のような男とメオトになっているという愚かな妻」というノロケなんじゃないかという気がしてきました…。

「人は『神』を意識して生きる方が生きやすい」ということに関連して、以前ご紹介したことがあるかもしれませんが、宗教人類学者の植島啓司さんが次のように言われているのを思い出しました。

「宗教の定義は、『自分以外の力を信じること』。つまり、宗教を信じない人は、『自分の力だけで生きていける』ということになります。果たしてそんなことが人間に可能でしょうか?」
【「偶然のチカラ」を味方につける:日経ビジネスオンライン】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081126/178299/?P=2

「明治以前の日本の社会であれば、『この世で起こっていることはすべて神さまの思し召し』という了解がありました。生は私たちの認識している範囲で完了しておらず、社会の外側にある“何かわからないもの”との兼ね合いで成り立っている。そういう信仰がありました。むろん前世の因縁を都合よく持ち出す人もいたから、その善し悪しはあったでしょうけれど。」
【「何も選ばない」生き方のすすめ:(同上)】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081119/177766/?P=2

あと、ウチの愚妻ならぬ恐妻(笑)にこの話をしたら「誤解を生むような表現(愚妻のこと)は初めから使わないのが吉」とか言うてました(^^ゞ

Re: ノロケなのかも

奥さまの言葉が正解だと思います(笑)

少なくとも、人間同士のやりとりでは、
「自分がいやなことは、他人にもやらない」
のが基本です。

自分が「あの愚かな人が」と言われていやな気分になるのなら、パートナーに対しても言わないのが正解だと私は思います。

もちろん。おっしゃるように、この世の中の……なんというか、自分ではいかんともしがたい力や、思いやりや、とりまく優しさなどを考えるとき、「神はおられるな」とは思うのです。
でも「神」より「おかみさん」の言葉の方が、生々しく真実かもなと、281028さんのコメントを読んで、思ってしまいました(笑)

例えば結婚前、旦那が、
「会社の同僚が、のりこに会いたいんやって!!」
と言ってきたことがあります。

「ななな、なんで?」
と聞いたら、
「さぁ……」
と言うのですが、
「会社の人たちに、私のことなんて言うてるん???」
と確認したら、
「可愛くて、賢くて、料理上手で、綺麗で、素敵で、女らしくて、上品で(以下省略):
と。

案の定、私が表れた途端、会社の人たちの表情が……。
おもっきり、「どんな反応をしたらいいの?」という戸惑いに満ち溢れました。
そしてそれを見た私も、困惑の海に溺れ沈んだのでございまするるるるるるる(T_T)

ある意味、何も考えておらず、ある意味、無垢な旦那の目から見た私は、神の目からみても「よし」であったろうかとは思います。
旦那が私を見出し得たのは、神様のご意志であったでしょう。

でも、私にとっては、「いらんこと言うなやこのぼけかすがぁああああああああああ!!!!!」
だったわけで(^^ゞ

どんなえらい学者さんの言葉より、奥さまの「誤解を生む表現は避けろ」という言葉の方がずっと正解に思えるのでございます(笑)
プロフィール

のりちゃん1968

Author:のりちゃん1968
大阪生まれ、大阪育ちのおばちゃんです。
40の大台を超えて、ますますおばちゃんに磨きがかかってます。

HP:http://www.norichan.jp/
Mail:norichan★norichan.jp
(★を@に替えてください)

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