うた
というわけで今、リグ・ヴェーダを読んでます。
いや~、コーランがあんまりにも面白すぎて(笑)
宗教書関係に惹かれております。
(だからって、新興宗教の勧誘にこないでくださいね~。すべての新興宗教が嫌いとは言わないけど、大概が嫌いだから(笑))
最近、本を読んでる時間があんましなかったんで、コーランからリグ・ヴェーダに行く間に、一冊しか本をはさんでませんが、この本が面白かったんですよ。
「日本異界絵巻」
名前だけ見ると、怪しげな本かと思いますが、著者は、小松和彦さん、宮田登さん、鎌田東二さん、そしてイラストが南伸坊さん。
民俗学の大家が揃ってるだけあって、これが面白かったんですよね~。
新聞に連載されたものということで、そんなに詳しい内容ではなく、歴史に興味のない人にもわかりやすくなってはいますが。
その中に「リグ・ヴェーダ」という名称がでてきたわけです。
この名前、聞いたことはあったけど、それが何かということに、あ~んまし興味はなかった。
でもこの機会にと調べてみたら、つまり古代インドにおける神々への賛歌を集めたものなわけです。
インドでは最古の「宗教大成」ってことになるとか。
成立は西暦前1000年ごろと言われてます。
古代インドの宗教って言えば、ヒンズー教をすぐに思い浮かべますが、このリグ・ヴェーダは、ヒンズー教として成立する前の神々を謳っていて、例えば、ヒンズー教では人気のある神々……例えば、ガネーシャやシヴァは登場しません。
ヴィシュヌの名は出てくるけど、それほどたくさんは出てこない。
ではどの神様が一番謳われているのかというと、それはインドラだったりします。
インドラは雷の神様で、世界を創造したとも考えられているようなんですよ。
「最高神」というのともちょっと違うっぽいけど、でも、この神様が中心的存在であることはどうやら間違いなさそうな感じです。
最高神が雷の神でもあるというのは、ギリシャ神話でもいっしょですよね。
ゼウスは、雷を武器としてますから。
そしてリグ・ヴェーダにおいて次に多く語られているのは、アグニ。
火の神様だったりします。
そして、サラスバティー。
河の女神。日本においては弁財天になりました。
また、シヴァの前身と考えられる、ルドラも人気です。
そもそもシヴァとは、「吉祥」を意味する言葉のようで、ルドラに冠された美称なんじゃないかとも考えられてるようですね。
しかしここで面白いと思うのは、シヴァの神格です。
この神様は有名なのでご存知の方も多いと思いますが、「創造と破壊の神」とされています。
すべてを破壊しつくし、そして破壊し終わった後、いちから世界を創造する神様。
まぁ、これにも諸説があって、「創造」は、ヒンズー三大神の一柱であるブラフマーが受け持つという考え方もあるようですね。
ヒンズーの三大神というと、シヴァの他に、ブラフマー、ヴィシュヌがいます。
シヴァが破壊、ブラフマーが創造、そしてヴィシュヌが維持をそれぞれ担当するという説もあるようです。
面白いのは、シヴァをどこに持ってくるかによって、この神様の印象が変わることですかね。
上記のように、一番最初に持ってくると、「破壊」は「創造」のためのものでるような印象になります。
ブルドーザーですね。
ブルドーザーで山を開拓し、そこに住宅地を建てる、そしてその住宅地が長く繁栄するというイメージを考えれればいいでしょうか。
だけどシヴァの位置を最後に持ってくると、彼は単なる破壊神のような印象になっちゃいます。
ブラフマーが創造し、ヴィシュヌが維持しているところへ、シヴァがやってきて破壊してしまう。
エホバが世界を創造し、キリストが救世主としてやってきて人々を導く、そこへやってきた恐怖の大魔王が世界を滅ぼしてしまう……っていうイメージ(笑)
本当は、破壊と創造はワンセットであり、切り離すことのできないものなんですけどね。
大局を見るのは、小さい人間にとってなかなか難しいことなんですよ。
で、ですね。
このシヴァ神の前身であるルドラもまた、破壊と創造を受け持つ神様だというのは上記した通り。
そして、ヒンズーにしても日本神道にしても、ギリシャの神々にしても、こういったアニミズムの神々は、自然そのものであることが多いものです。
例えば、アグニは火だと言いました。
サラスバティーは聖なる川。
火を崇め、川の恵みに感謝する気持ちが、信仰へと昇華するというのは理解しやすい話ではないかと思います。
それでは、ルドラは?
ルドラはなんの神様なんでしょうか。
もちろん、3000年も前の話なんで、はっきりとは言えませんが、その正体はモンスーンではなかったかと考えられているようです。
モンスーン風は、多くのものを破壊することがありますが、その風は豊作をもたらします。
例えば、エジプトにおける母なるナイルが、洪水を引き起こすと同時に、上流の肥沃な土を運んでくる恵み深いものであったというように。
人間に恐ろしい害を与えながらも、同時に恩恵を与えるものっていっぱいあるんですよね。
太陽が光と熱を惜しみなく降り注ぐという慈母の面と、旱魃で農作物を枯らしてしまうという容赦ない面を持ちあわせるように。
川が聖なる流れにより人々の暮らしを潤す面と、氾濫により人の命を奪う恐ろしい面を持ちあわせるように。
風が……………もういっか(笑)
まぁそんなわけで、リグ・ヴェーダの賛歌は、うたうことで、神々の優しき面を引き出そうとしたものなのかもしれません。
一般的に、翻訳してしまうと原語の美しさは維持できないことが多いんですが、言葉の美しさは消えても、そのダイナミックさや躍動感は伝わります。
美しい。
*******
常に目覚めし人間の保護者よ、勝れたる意志力をもつアグニは生まれいでたり。
さらに新たなる安寧のために。
グリタ滴る顔をもつ、清浄なる神は、天を摩する高き炎もて、バラタ族のため、明らけく輝き渡る。
*******
グリタってのはバターの溶液のことみたいなんで、「蜜したたる」と通じる表現なのかもしれません。
わからんけど。
また、アグニは炎の神様ですが、ここでは明らかに太陽を指していますね。
太陽もまた炎だと、なぜ3000年以上も昔の人々は知ってたんでしょうか。
その霊感に近いと思われる、直感に、自由で躍動的な感性を感じちゃうんですよ~。
いいなぁなんか。
日本神話も、ギリシャ神話も、ケルト神話も、自然を神に見立てて美しい物語を紡ぎだしています。
でもその中で、リグ・ヴェーダがかくも美しいのは、その本質に「うた」があるからではないかと。
日本には祝詞があります。
キリスト教には聖歌が。
ギリシャにだってあるはず。よく知らんけど。
「うた」は本来、神々にささげられるものだったんでしょうね。
なぜならば、自然も。
川も風もそして、よくよく耳を澄ませば太陽も、歌をうたってるからじゃないかなと思う。
その歌に同調し、心を添わせてできたのが、人間が神にささげる「うた」だったのでは、と。
私は、自然の奏でる歌も好きだけど、人間の心の底から湧き出てきたような、自然でかつ無垢な歌も好きだなぁ……というわけで。
家事が終わったら、モーツァルトの交響曲でも聞くかな。
いや~、コーランがあんまりにも面白すぎて(笑)
宗教書関係に惹かれております。
(だからって、新興宗教の勧誘にこないでくださいね~。すべての新興宗教が嫌いとは言わないけど、大概が嫌いだから(笑))
最近、本を読んでる時間があんましなかったんで、コーランからリグ・ヴェーダに行く間に、一冊しか本をはさんでませんが、この本が面白かったんですよ。
「日本異界絵巻」
名前だけ見ると、怪しげな本かと思いますが、著者は、小松和彦さん、宮田登さん、鎌田東二さん、そしてイラストが南伸坊さん。
民俗学の大家が揃ってるだけあって、これが面白かったんですよね~。
新聞に連載されたものということで、そんなに詳しい内容ではなく、歴史に興味のない人にもわかりやすくなってはいますが。
その中に「リグ・ヴェーダ」という名称がでてきたわけです。
この名前、聞いたことはあったけど、それが何かということに、あ~んまし興味はなかった。
でもこの機会にと調べてみたら、つまり古代インドにおける神々への賛歌を集めたものなわけです。
インドでは最古の「宗教大成」ってことになるとか。
成立は西暦前1000年ごろと言われてます。
古代インドの宗教って言えば、ヒンズー教をすぐに思い浮かべますが、このリグ・ヴェーダは、ヒンズー教として成立する前の神々を謳っていて、例えば、ヒンズー教では人気のある神々……例えば、ガネーシャやシヴァは登場しません。
ヴィシュヌの名は出てくるけど、それほどたくさんは出てこない。
ではどの神様が一番謳われているのかというと、それはインドラだったりします。
インドラは雷の神様で、世界を創造したとも考えられているようなんですよ。
「最高神」というのともちょっと違うっぽいけど、でも、この神様が中心的存在であることはどうやら間違いなさそうな感じです。
最高神が雷の神でもあるというのは、ギリシャ神話でもいっしょですよね。
ゼウスは、雷を武器としてますから。
そしてリグ・ヴェーダにおいて次に多く語られているのは、アグニ。
火の神様だったりします。
そして、サラスバティー。
河の女神。日本においては弁財天になりました。
また、シヴァの前身と考えられる、ルドラも人気です。
そもそもシヴァとは、「吉祥」を意味する言葉のようで、ルドラに冠された美称なんじゃないかとも考えられてるようですね。
しかしここで面白いと思うのは、シヴァの神格です。
この神様は有名なのでご存知の方も多いと思いますが、「創造と破壊の神」とされています。
すべてを破壊しつくし、そして破壊し終わった後、いちから世界を創造する神様。
まぁ、これにも諸説があって、「創造」は、ヒンズー三大神の一柱であるブラフマーが受け持つという考え方もあるようですね。
ヒンズーの三大神というと、シヴァの他に、ブラフマー、ヴィシュヌがいます。
シヴァが破壊、ブラフマーが創造、そしてヴィシュヌが維持をそれぞれ担当するという説もあるようです。
面白いのは、シヴァをどこに持ってくるかによって、この神様の印象が変わることですかね。
上記のように、一番最初に持ってくると、「破壊」は「創造」のためのものでるような印象になります。
ブルドーザーですね。
ブルドーザーで山を開拓し、そこに住宅地を建てる、そしてその住宅地が長く繁栄するというイメージを考えれればいいでしょうか。
だけどシヴァの位置を最後に持ってくると、彼は単なる破壊神のような印象になっちゃいます。
ブラフマーが創造し、ヴィシュヌが維持しているところへ、シヴァがやってきて破壊してしまう。
エホバが世界を創造し、キリストが救世主としてやってきて人々を導く、そこへやってきた恐怖の大魔王が世界を滅ぼしてしまう……っていうイメージ(笑)
本当は、破壊と創造はワンセットであり、切り離すことのできないものなんですけどね。
大局を見るのは、小さい人間にとってなかなか難しいことなんですよ。
で、ですね。
このシヴァ神の前身であるルドラもまた、破壊と創造を受け持つ神様だというのは上記した通り。
そして、ヒンズーにしても日本神道にしても、ギリシャの神々にしても、こういったアニミズムの神々は、自然そのものであることが多いものです。
例えば、アグニは火だと言いました。
サラスバティーは聖なる川。
火を崇め、川の恵みに感謝する気持ちが、信仰へと昇華するというのは理解しやすい話ではないかと思います。
それでは、ルドラは?
ルドラはなんの神様なんでしょうか。
もちろん、3000年も前の話なんで、はっきりとは言えませんが、その正体はモンスーンではなかったかと考えられているようです。
モンスーン風は、多くのものを破壊することがありますが、その風は豊作をもたらします。
例えば、エジプトにおける母なるナイルが、洪水を引き起こすと同時に、上流の肥沃な土を運んでくる恵み深いものであったというように。
人間に恐ろしい害を与えながらも、同時に恩恵を与えるものっていっぱいあるんですよね。
太陽が光と熱を惜しみなく降り注ぐという慈母の面と、旱魃で農作物を枯らしてしまうという容赦ない面を持ちあわせるように。
川が聖なる流れにより人々の暮らしを潤す面と、氾濫により人の命を奪う恐ろしい面を持ちあわせるように。
風が……………もういっか(笑)
まぁそんなわけで、リグ・ヴェーダの賛歌は、うたうことで、神々の優しき面を引き出そうとしたものなのかもしれません。
一般的に、翻訳してしまうと原語の美しさは維持できないことが多いんですが、言葉の美しさは消えても、そのダイナミックさや躍動感は伝わります。
美しい。
*******
常に目覚めし人間の保護者よ、勝れたる意志力をもつアグニは生まれいでたり。
さらに新たなる安寧のために。
グリタ滴る顔をもつ、清浄なる神は、天を摩する高き炎もて、バラタ族のため、明らけく輝き渡る。
*******
グリタってのはバターの溶液のことみたいなんで、「蜜したたる」と通じる表現なのかもしれません。
わからんけど。
また、アグニは炎の神様ですが、ここでは明らかに太陽を指していますね。
太陽もまた炎だと、なぜ3000年以上も昔の人々は知ってたんでしょうか。
その霊感に近いと思われる、直感に、自由で躍動的な感性を感じちゃうんですよ~。
いいなぁなんか。
日本神話も、ギリシャ神話も、ケルト神話も、自然を神に見立てて美しい物語を紡ぎだしています。
でもその中で、リグ・ヴェーダがかくも美しいのは、その本質に「うた」があるからではないかと。
日本には祝詞があります。
キリスト教には聖歌が。
ギリシャにだってあるはず。よく知らんけど。
「うた」は本来、神々にささげられるものだったんでしょうね。
なぜならば、自然も。
川も風もそして、よくよく耳を澄ませば太陽も、歌をうたってるからじゃないかなと思う。
その歌に同調し、心を添わせてできたのが、人間が神にささげる「うた」だったのでは、と。
私は、自然の奏でる歌も好きだけど、人間の心の底から湧き出てきたような、自然でかつ無垢な歌も好きだなぁ……というわけで。
家事が終わったら、モーツァルトの交響曲でも聞くかな。
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